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深澤先生ブログ「あしたのために#4」を更新しました

深澤先生ブログ「あしたのために#4」を更新しました

この「あしたのために」が始まってから4回目を迎えます。あしたのために、その一では「軽擦」を紹介し、その二では「押圧」を紹介しました。そして今回は「揉捏」の紹介となります。私が行うスポーツマッサージで大事にしてきている基本手技がこの「軽擦」「押圧」「揉捏」という三つです。もちろんこの基本手技は、東洋医学としての「あん摩・マッサージ・指圧」でも同様に大切な手技です。

ですから、東洋医学の資格を得ようとされている皆さんも、この三つの基本手技は絶対に身に付けて欲しいと願っています。このブログでは「スポーツマッサージ」というものにスポットライトを当てているので、スポーツマッサージにおいての「揉捏」という基本手技をこれからお話させてもらいます。

前回の「押圧」でも少し触れましたが、押圧の中にも「剥がす」というテクニックを用いて施術します。そして、そこからさらに手技をアレンジしていくと「揉捏」という手技に色々な技をミックスさせて、スポーツマッサージのテクニックが成り立っていきます。表現の仕方が正しいかどうかは別として、あくまでも私の感覚としてイメージしていく手技になりますのでご理解ください。

揉捏にも「剥がす」という要素は入っています。さらに「基本的な揉む」というテクニックや「動かす」「揺らす」「まくり上げる」「深い部位に刺激を送り込む」というイメージの手技を加えていきます。「揉捏」という手技はいわゆる「揉みほぐす」ということです。揉みほぐすためには、ただ掴んで揉めば良いというわけにはいきません。より深い部位に対して、より効果的により効率的に刺激を送り込むことが必要になるからです。

そう考えると掴んで揉むだけでは、その効果を引き出すために相当な手間と時間が必要になります。そこで、体の表面からとは言え部位や形状によって筋肉をしっかり捉えて揉んでいった方がはるかに効果的ですよね。その筋肉を捉えるために「動かす」「揺らす」「まくり上げる」「深い部位に刺激を送り込む」というテクニックが必要で、それらを駆使することで筋肉を解すことができるのです。

このように物理的な刺激を筋肉に直接与えて、筋肉そのものを解せるようにアプローチしますが、これらのアプローチを行うことで血液の循環も向上し血流量の増大にもつながります。このアプローチとその刺激に対する体の反応が体循環の促進、血流量の増大となり疲労の回復やコンディションの向上という好結果を生みだしてくれます。さらには、このような物理的刺激を与えることにより生体反応として「自己回復能力」を促進してくれる二次的な効果も期待できます。

我々はテクニックを駆使して物理的刺激を与えていきますが、最終的にリカバリー機能を発揮させるのは受けている本人です。ですから、我々が行うスポーツマッサージはあくまでもサポート的な仕事であり、本当に自分の体を改善させているのは本人の持つ「自己回復能力」のおかげなのだということを忘れてはいけません。プロ野球の世界だけでなく多くの場面で「私が施術したから良くなった」という人がいますが、私は決してそうは思いません。

良くなる、回復できるためのお手伝いはしていますが、本当に良くしているのは受けている人自身の力なのです。しかし、その能力を効果的に使えるように仕向けていることは間違いありませんから、そこは胸を張って人の回復のために一生懸命施術したということは言うべきだと思います。

ちょっと脱線しましたが、このように効果を発揮させるための手段が我々の行う手技、テクニックになるわけでそのために最も重要な役割を担っているのが「揉捏」というテクニックなのです。またまたボクシングに例えてしまいますが、効果を引き出すためにその形を整えていく準備がジャブにあたる軽擦です。そして、その効果を優位に引き出させるようリードしていくのがストレートにあたる押圧です。

そして試合を決めるボディブローやフック、アッパーにあたるのが揉捏なのです。つまりこの「あしたのために、その三」にあたる「揉捏」の使い方次第で施術の効果を存分に発揮させられるか?自己回復能力を最大限に引き出せるか?という結果に直結していく手技なのだということです。

揉捏は、筋肉を的確に捉えその捉えた筋肉の深層部分に刺激を届けるための手技です。ただ単に押すとか動かすとかということではなく、捉えた部位の筋肉に対しジワジワとした少しずつの刺激を送り込みながら剥がしたり捲り上げたりするように指先の腹で刺激を入れていきます。その作業を小まめに適切な刺激の強弱と量で調整していきます。これを繰り返すことで、筋肉の深層部への刺激と物理的な刺激で緊張の強い筋肉を解し、血液循環の向上へとつながっていきます。

結果、筋肉の硬縮によって起こっていた血流の滞りを解消し自己回復能力が活性化されて、疲労からのリカバリーや故障部位の回復ということになるのです。この揉捏の技術を会得することは容易ではありませんが、努力して経験を積んでいけば誰でもできるようになります。皆さんも是非地道に練習を繰り返し「揉捏」のマスターになってください。
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