湘南医療福祉専門学校

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深澤先生ブログ「しなやかに#3」を更新しました

今年のテーマとしている「しなやかに」って、色々な場面で必要な要素だなと最近つくづく実感しています。この「しなやかに」という表現は、どのようなところに当てはまってくるのか?皆さんはどう思いますか?


私が強く思うのは、いわゆる「所作」というものです。施術での技術的な要素も大切なところですが、私はとにかく「しなやかな所作」にこだわりを持ちたいと考えています。「所作」という言葉は、おおよそ「茶道」や「華道」とか「演舞」などの世界で広く使われていると思います。

お茶やお花を造る人たち、演技を魅せる人たち、このような人たちの指一本一本から全体への動きまで含めて、いかに綺麗に美しく見せるか?にこだわりをもっているのではないでしょうか?綺麗で美しい動きは人を魅了します。このような要素が私たち東洋医学の従事者やトレーナー業に携わる人たちにとっても、とても大事なことだと私は思うのです。


患者さんや選手たちと向き合って、その人の辛いところ苦しいところなどを探し出そうとする問診、触診、視診などでも、相手の気持ちを察しながらスムーズに効率よく展開することで、患者さんや選手たちが施術者やトレーナーに対する安心感や信頼感を持ってもらえると思いませんか?


準備ができておらず、順番が無茶苦茶で要領の悪い施術者やトレーナーだったら、おそらく患者さんや選手は「大丈夫かな?」という不安感を抱いてしまうと思います。不安感を持たれてしまった時点で、その施術者やトレーナーの仕事内容は評価が下がってしまいますよね。そうなってしまうと、どんなに良い仕事をしてもあまり芳しくない結果になってしまうのです。

「いやいや、そんなことないですよ!」と言われる人がいるかもしれません。しかし、私自身がこの世界に足を踏み入れて35年の間で見てきた現実は、このようなことでした。だからこそ私は仕事をする時の「所作」には十分気を付けています。そして自然と身に付けてきたことも多くあります。

単純なところで言うと、患者さんや選手たちと向き合う時には目線を同じか私の方が若干下がる位置にポジショニングするということだったり、患者さんの体にタオルなどをかける時には優しくさりげなく効率よくかけていくことだったり、患者さんの体の一部(例えば下肢なら)を持つときは優しく一発で足首をくるむように持つ。ということだったりです。

最初に問診や視診で状態を把握したいときに、患者さんから本音を引き出すためには私の目線が患者さんより下がる位置にいけるように話をしながらゆっくりとしゃがみこんでいきます。そうすることで、患者さんは話をしやすいと感じてくれるようです。もし皆さんが高圧的な先生を前にして問診されても、なかなか本当のことは言えないですよね。

「痛いんです」ということが言えても、その痛みによってどのような状況になってしまっているのかという話はなかなかしづらいと思います。また、患者さんの体に適当に大雑把にタオルをかけられたら、おそらく患者さんは緊張状態に入ってしまい不信感や不安感しか持たないと思います。

さらに患者さんの体に触れる以上、必要な部位を丁寧に優しく一発でサッと持たれれば体を預けてくれている患者さんも安心感が生まれてくると思います。ここでも持つ部位を探しながら雑に持たれたりしたら、その時点でやはり不信感、不安感しか生まれません。実際に施術を受けにくる人たちは、先生に触れられた瞬間にその先生の技量を感じ取ることができているようです。

また、施術を進めていく中で施術者のポジショニングが的確でスムーズに行われていれば、施術者自身もリズムに乗って効率良く自分の思い描く治療方針に沿って進めていくことができますし、受け手の患者さんや選手は「この人は私の訴えを理解してくれて、そこを的確にアプローチしようとしているんだな」と納得できるはずです。

私が専門学校に通っていた時代、先生からある言葉をいただきました。それは「愛は無言のうちに通ずる」という言葉でした。つまりは、患者さんに対して余計な世間話をして気を引こうとするより、なんとかこの患者さんの痛み苦しみを取り除こうと一生懸命施術することで、その熱意と誠意が患者さんに届き良い結果を生み出しやすくなるということです。

もちろん施術に必要な情報を得ていく手段として問診や、施術しながら感覚を聞き出すコミュニケーションは必要です。簡単に言えば余計な話はいらないということですね。それ以上に施術者自身が患者さんと正面から向き合って必死に対応することの方が大切だということです。そういう中でのポジショニングやスムーズな施術者の動き、動作は受け手の安心感や信頼感を得るのにとても重要なポイントになるのです。

これらが自然とできる人が一流の施術者でありトレーナーと言われる人たちなのです。なぜか?それは、こういう所作ができる人は常日頃自分の技術や知識に対して探求心や向上心を持っているからであり、そのための努力と準備を怠っていない人だからです。私自身トレーナーの世界で嫌というほど痛感したことは、準備の必要性ということでしたから。

準備ができていれば、効率よく効果的に施術できて良い結果も生まれやすくなりますが、準備ができていない施術はどんなに頑張っても良い結果が出ませんでした。準備することが一流の所作を生み、その所作は効率的・効果的であります。そして患者さんとお互いに力を合わせて治療を進めていけるからより良い結果が生まれてくるのです。

その一流の所作が、今回で言う「しなやかな所作」ということなのです。是非皆さんもこの「しなやかな所作」を意識して行動してください。これを意識することで、より準備を徹底するようになり技術も知識も人間性も向上すると思いますよ!そう言えば、故野村監督からも「一に準備、二に準備」と教わりました。

要約すると「しなやかな所作」を実行できるのは「準備を整えておく」ということですね。


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