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深澤先生ブログ「しなやかに#2」を更新しました

深澤先生ブログ「しなやかに#2」を更新しました

皆さんは、患者様に対する施術のイメージをどのように持っているでしょうか?東洋医学の場合、問診・視診・触診を経て、実際に出現している問題点を探し出し改善するためのアプローチを選択して実行していくのが一般的な方法ではないでしょうか。私もこの基本的な方法は同じです。


私の場合、スポーツの世界で働いていたこともあり東洋医学的な考えの他、西洋医学においての画像診断や筋・骨格系、内科的・外科的な診方も含め総合的にアプローチしていきます。簡単に説明すると、東洋医学では経絡や経穴、陰陽や五行を駆使して問題点の改善にあたっていきますが、西洋医学的には骨の状態や筋肉・靭帯などの走行等を重視して取り組んでいくということです。


このようなアプローチの仕方が、普段私が取り組んでいる方法になりますが、今回はこれらを踏まえて施術にあたる際の手技という部分の話をしていきたいと思います。東洋医学的にも、私が取り組んでいる方法でも一番重要なポイントは「手の感覚」ではないでしょうか?取穴する時に指標になるものがありますが、それはあくまで指標として目安にするものであり、人間の体は千差万別でその状態は日々変化していますから、目安となる部位で最終的に決断するのはやはり自分の手の感覚だと思います。


西洋医学的に解剖学的に体を診る場合でも、筋肉や靭帯・腱などの状態を把握するにはやはり手の感覚が重要になります。私はこの「手の感覚」をとても大事にしています。患者様は自分の不調を起こしている部位を明確には理解できていません。なぜなら人によってその部位と呼称が変わってしまうからです。例えば患者様が「肩が痛い」と訴えた場合、その肩の部位は人によって様々であるということです。


ある人は「三角筋」またある人は「肩上部」もっと極端な場合は「頸部あたり」を含めて肩と捉えてしまう場合があるのです。野球選手のように「肩痛」が多く出現する現場でも肩自体の認識は近くても詳しくチェックすると、棘上筋・棘下筋・小円筋・広背筋・上腕二頭筋長頭腱・三角筋・肩峰等々大きく違いが出てしまいます。だからこそ、目安は必要ですが触診しながら本当に問題の発生している部位を感じ取り、徒手検査や画像診断を基にして限局させていく必要があるのです。


こうして部位を特定し、なぜこのような問題が発生しているのか?を紐解いていくことで治療方針が確立されます。治療方針を確立させるということは、今現在まず最初に行うべきこと、そして回復までにどの程度の期間が必要なのか?ということを考え出さなければならないのです。状態を把握しゴールを設定することで、アプローチしていく順番や部位が明確になります。そして行っていくことの内容も明確になります。


これを明確にしておかないと、治療が進んでいく中で改善速度が遅かったり反応がでなかったりした時の見直しやアプローチの変更ができなくなってしまいます。ゴールを設定して内容を決められてもあくまでも人の体です。100%考え通りに進むことの方が難しいのです。だからこそ常に状況・状態を把握しハプニングにも即対応できる準備を整えておかなくてはなりません。


この途中途中の状態把握に関してもやはり「手の感覚」は重要な要素となります。教科書通りに進まないのがこの世界です。だからたくさん触ってたくさん知ってたくさん失敗をする必要があると私は思います。失敗と言っても人様の体に傷つけるということではありません。アプローチ方法が間違っていたということでうまく改善できなかったということです。


みんなこの「失敗」という部分をとても嫌いますが、なぜ嫌うのでしょうか?「失敗」がなければ成長しません。私自身はこの「失敗」の積み重ねで成長できたと感じています。つまり「失敗」=「うまくできなかったこと」になるわけですから、なぜ失敗したのか?なぜうまくいかなかったのか?を振り返る、考えるチャンスなのです。ここで考えるから次の一手を見つけることができたり、方針の見直しができたりするのです。


このような経験の積み重ねが、自分を成長させ患者様のためになっていくのです。自分の失敗やうまくいかないことを嫌うのは「自分よがり」の施術です。患者様のためになることを行うのだからこそ、一生懸命考えて、やってみて、結果をみて、そこから次を考えて行動する。ということの繰り返しをすることがとても重要なポイントだと思います。

つまり私たちは施術にあたり、最善を尽くす行動と努力を怠ってはいけないわけで、そのためには幅を広く考える思考力と常に多くのことを感じ取るための手の繊細さが必要だと言うことです。私がヤクルトに在籍していた時に、当時の野村監督から「感受性を高めろ」と良く言われました。色々なことにアンテナを張りより多くのことを感じ取ることが、自分を成長させる。と言われました。

どうぞ皆さんも、正確で明確な知識を身に付け、より多くの経験から自分を高めていけるような日常を送ってください。そして、いつも振り返りを大事にして柔軟な思考力を身に付けて対応できるようにしてください。これがこの題名で言うところの「しなやかな思考力」であり、何でも感じ取る「繊細でしなやかな手の感覚」を磨いてください。そうすれば、自分の得た知識を自分の手で完璧に表現することができるようになります。



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