湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「先ず、やってみよう#12」を更新しました!

春の訪れとともに、学生さんたちには「卒業」というイベントがやってきます。卒業からほど遠くなった私には「花粉症」しかやってきませんが(笑)

卒業となると、なんとなく寂しさが付きまといますが、本来は「めでたい」お祝い事であり勉学に勤しんだ学生さんたちが、そこで得た知識や技術、人間関係などをこれから世の中で発揮していく旅立ちの日でもあると思います。

特に「東洋医学」を学ばれた皆さんは「資格」という技術を身に付け、世の中の人々の支えになっていかなくてはなりません。厳しく言えば「有資格者」として「責任」を持って世の中の人たちのために努力を継続していかなくてはならないということです。

今までは「学生」という立場で、知識や技術を身に付けながらも学校が責任を持ってくれて活動することができていました。しかし、これからは全てにおいて「自己責任」の中で活動していかなくてはならないのです。

大変なことだと思います。しかし、必要以上にナーバスになることはありません。先ほど「自己責任」と書きましたが、人のためを想って人のために努力して行動しなさいということであり、あれをやってはダメこれをやってはダメということではありません。世の中のこと東洋医学のこと全ての中で「決められたルール」を守れば良いのです。

東洋医学の中でも「医療事故」は起こります。なぜ起こるのか?は、この決められたルールを守らないから起こるのであり、ルールに従って一生懸命努力して活動している人は事故を起こしません。私の近いところでも医療事故を起こした人がいます。この人は、元々知識・技術に貪欲で人のためにも一生懸命努力できる人でした。

しかし、資格を得て5年ほど経った時だったと思います。自分の経験値が高まってきて、臨床の数も増えて来たときに自信を持ち始め、気づけば人を想う治療から自分の腕の押し付けに変わり始めたのです。それでも毎日知識の吸収には貪欲で、常に何かを得ようとする姿勢自体は立派だったと思います。

それでもある日事故は起きたのです。何故なら努力することと身に付けた技術の提供のバランスが崩れたからに他なりません。自分の技術力を向上させることばかりに目が行き過ぎて、患者さんのための知識・技術習得になっていなかったからです。我々は体の不調に苦しんでいる人たちのために最善の努力をしなくてはいけない仕事です。

でも、その根本にある「患者さんのために」を忘れてしまうと、このように事故が起こるようにできているのです。もしこの人が初心を忘れず、患者さんのためにという努力を継続できていたなら医療事故を起こすことはなかったでしょう。人間経験を積んでいくと、多くのことを知り多くのことができるようになってきます。

それは成長でありとても良いことである反面、慣れという奢りも生み出します。慣れは自信ではなく傲慢という悪い武器に変化します。その悪い武器に気づくことができないのが、悲しい人間の性でもあります。だからこそ、どんなに経験を積んでも信頼関係を築けるようになっても「常に、初心忘るべからず」なのです。

その初心というのが「資格を得た時の責任と緊張感」ということになるのです。どんな仕事でも一生懸命活動するのは当たり前のことです。しかし、人間の弱点として慣れが出てくるとこの一生懸命さも影を潜めます。だから決して忘れてはいけないことなのです。

皆さんは、これから世の中に向かって羽ばたこうとしている人たちです。今まで学校で得てきた多くの知識と技術を思う存分発揮していって欲しいと願います。ここまで非常にネガティブな話題について話を進めてきましたが、これはあくまでもこの世界で生きていくために忘れてはいけないことの忠言です。だから怯んで欲しくはありません。
この題目通り「先ず、やってみよう」の精神は続けて欲しいのです。但し、先ずやってみようも「患者さんのために」という気持ちを忘れて欲しくないのです。人のために、責任を持って、ルールを守って、この先何十年も初心を持ち続けて努力・活動していけば、必ず素晴らしい東洋医学の従事者になれます!

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