深澤先生のブログ「Hand of god #3」

2017年06月06日(火)

<深澤英之 先生>
城西大学野球部、女子駅伝部、陸上部トレーナー
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)一軍トレーナー兼リハビリ担当
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)二軍トレーナー、二軍トレーニングコーチ
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)一軍トレーナー兼リハビリ担当
ロサンゼルスドジャースアシスタントトレーナー
株式会社ルートヴィガー設立(広尾店、銀座店)
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日本プロ野球も開幕して早二か月が経ち、この6月からは「交流戦」が始まります。
私がヤクルトスワローズに在籍していた頃には、このような試合はまだ無く同一リーグのみのペナントレースでリーグチャンピオンを目指していました。

そしてリーグ優勝を果たせば直ぐに「日本シリーズ」で日本一を争うという、実に単純明解なシステムでしたが・・・逆に白黒ハッキリしていたと思います。
私は2002年に米国に渡りドジャースに在籍させていただきましたが、メジャーリーグでは「交流戦」が既に取り入れられており、リーグチャンピオンになるためのプレーオフシステムも確立されていました。

現在は「クライマックスシリーズ」という形で日本でも日本シリーズに出場するためのプレーオフが導入されていますが、個人的にはお笑い系のクイズ番組で「最終問題で答えた人に何百点!・・・のような形で、今まで正解を重ねて積み上げてきた点数は何だったんだ?というものに見えて仕方ありません。(笑)

まあ30球団(ア・リーグ15、ナ・リーグ15)で争うメジャーリーグと12球団(セ・リーグ6、パ・リーグ6)で争う日本で、同じシステムを導入すること自体に無理があると思いますが・・・

さて、そろそろ本題に入りましょう!

このような野球の世界では、日々多くの故障やケガに悩まされている選手がいます。
野球という競技特性を考えると、特に「肩」や「肘」の障害が多くみられます。
そして外傷よりも障害の方が圧倒的に多いのが特色と言えるでしょう。

何故ならばコンタクト的なプレーが少なく、活動持続のプレースタイルにあるからです。
ボールを投げ続ける、バットを振り続ける、このような微小なストレスが持続して繰り返されることで、筋緊張のバランスが崩れ筋肉だけでなく靭帯や腱、そして骨の変形等に繋がってしまうことが多くみられます。

今回は、その中でも「肩痛」というものにスポットを当てて話を進めようと思います。
特に投手というポジションで肩関節の障害が多く発生します。
根本的には「投げすぎ」ということなのですが・・・

肩関節は解剖学的にみると、関節可動域が大きく出せる分不安定性の高い関節です。その不安定性を防ぐためにローテーターカフと呼ばれる筋肉が活躍しています。
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋です。これらの筋肉は主に肩関節の安定性を高める働きや上肢を動かすためのお手伝いをしてくれているのですが、いかんせん強化しにくい筋肉でもあります。

上肢の動きは肩甲帯に依存していて、僧帽筋、肩甲挙筋、広背筋、三角筋等に頼ることが多いからです。つまり鍛えようとしても、正しい動作・姿勢・負荷でないと鍛えられないのです。
大抵の場合、投げすぎて筋肉疲労が起こると上記に挙げた大きい筋肉たちが疲労し拘縮を起こし、肩関節を前方突出させてしまい、その関節の位置で投球することによってローテーターカフに負担が大きくなり、上腕二頭筋腱長頭腱にインピンジメントが起こり炎症や痛みが発生するのです。

このような状態をいわゆる「野球肩」と表現します。
これは、主に投球動作が多い投手に発生しやすい障害ですが、野手でも起こる障害です。使用頻度の問題が大きいですが、やはり肩関節が正しいポジションでパフォーマンスされないと起こってしまうと言うことです。

さて、この野球肩を我々術者は改善していかなくてはならないのですが、どう考えどうアプローチしていくか?というプログラミングが大事です。
例えば「痛みが肩関節後方に出現しており、肩関節の前方突出がみられ、徒手抵抗で外転挙上や外旋動作が弱い」というような場合だとします。

この状態で考えることは、痛みの出現している場所が肩関節の後方にあるということ。前方突出しているということ。本来パワーが出る動作で力が出し切れないということです。
つまり、僧帽筋・広背筋・肩甲挙筋に疲労性の拘縮(硬結)が起こり外転挙上や外旋動作が弱くなっていることから「棘上筋・棘下筋・小円筋」が損傷を起こしているか?機能しにくくなっているか?ということになりますね。

ですから、アプローチする部位は痛みを抑制させ損傷した部位を修復させるために「棘上筋・棘下筋・小円筋」がメインになります。
そして肩関節全体のコンディションを整えるために「僧帽筋・広背筋・肩甲挙筋」の緊張を緩和させることを同時に行うのです。

方法としては主に「鍼治療」を行います。
筋緊張が強い部位、痛みを感じる部位、特に動作の中で一番痛みを感じる部位が重要なポイントになります。問題が出ているであろう部位の周辺を隈なく触診し、硬結の強い部位をメインターゲットにします。

先ずは、メインにあたる部位の遠位から単刺で施術を行い、その後最も硬結の強い部位に緊張を抑制させるために置鍼します。
そしてその部位の近位に抑制をサポートするための置鍼を行います。
これを行った後にもう一度触診を行い硬結の感覚を確認し、その後動作の中で最も痛みを出す動きを確認してその動作の位置でピンポイントに単刺を行います。

この施術を選手本人の痛みの感覚と照らし合わせながら、数回行っていくと比較的短時間で効果が得られることもあります。
但し、基本的には4~5日を一区切りとして治療を継続します。
このような方法で施術を行っていくと、疲労性の肩痛であれば回復します。

さすがに、筋繊維に損傷が強い場合や靭帯、腱に損傷が出ている場合は1か月・・・またはそれ以上日数が必要なこともありますが・・・

私の今までの経験では、上記のような治療を行って試合に復帰することが可能になったケースは非常に多かったということです!
また、このような方法を用いることで肩痛だけでなく、肩こりやその他の部位の障害にも十分対応可能です。

さあ皆さん!色々な方法を経験してください。
そしてもっともっと良い方法を編み出してください。そうすれば今度はあなたが「ゴッドハンド」です!
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