湘南医療福祉専門学校

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深澤先生のブログ「東洋医学とスポーツ#8」

突然ではありますが、皆さんは「謙虚」という言葉の意味をどう捉えていますか?
国語辞書で調べてみると「控え目で、つつましいこと」「へりくだって、すなおに相手の意見を受け入れること」とあります。

確かに言葉の意味としては、このような解釈で良いのかもしれませんが・・・私は「謙虚」という言葉の意味と日本人の解釈の仕方が間違っていると思っています。

私たち東洋医学の施術者にとって「謙虚な気持ち」「謙虚な姿勢」はとても大切な要素だと思います。
でもその意味を間違えないで欲しいと切に願います。私の会社ルートヴィガーでもスタッフの心得として「常に謙虚な気持ちを忘れずに患者様に誠心誠意を持って施術する」という項目があります。

でも私の言う「謙虚な気持ち」とは「控え目で、つつましいこと」「へりくだって、すなおに相手の意見を受け入れること」ではありません。

我々は東洋医学で学んだ技術を駆使して患者様に精一杯の対応をする技術者です。患者様にとって何が必要であり何をすべきか?を提案・提供しなくてはなりません。
患者様の気持ちを汲みながらも、患者様の考え違いや誤った知識を改善しながら対応しなくてはならないのです。

この時点で、国語辞書に掲載されている意味とはまったく違ってきますよね。
我々が技術者だから偉いというわけでもありません。患者様の苦しみ・辛さを改善するために見極めが必要であり、患者様の身体が良くなって欲しいと願うから正しい知識と技術が必要なのです。
そういう意味では「つつましかったり、相手の意見を受け入れてばかりでは話になりません」

では、我々が持つべき「謙虚」とは一体どういう意味なのか?

これからお話することは、あくまでも私個人の意見であり私個人の考えですから全てにあてはまることではありません。
しかし、私自身がトレーナーという世界で仕事を始め27年間で感じてきた施術者の持つべき考え・姿勢という部分での「謙虚」という意味であるということを理解して下さい。

私の考える「謙虚」の意味は、技術者として初めて患者様に触れさせていただいた時の気持ちを忘れないということです。そして何年この仕事を続けていても常に「もっと患者様にとって良い方法がある」「もっと良い方法を身に付けよう」と向上心を持って努力し続けることだと思っています。
医学に関わる知識を学んでいると「自分が偉くなった」ような錯覚を持ち始めます。そして施術の数が増えて慣れてくると「自分は何でもできる」という思い違いを持つようになります。

実際には我々は患者様の体調を改善するためのお手伝いをしているだけであって、自分の知識と技術が患者様自身を治しているわけではないのです。
人間の持つ「自己回復能力」これこそが一番の力なのです。この自己回復能力が何らかの影響によって上手く機能していないから不調になっているので、これを正常な働きに戻すためのお手伝いが我々東洋医学に携わる施術者の役割なのです。 

患者様自身が持つ自己回復能力を正常に機能させるため、改善させるために知識が必要であり技術が不可欠なのです。この意味が理解できれば、私の言う「謙虚」の意味もご理解いただけるのではないでしょうか。

私は、若いスタッフたちに「上司や先輩に言われることをただ単に聞いて受け入れているだけではダメ」「自分の考え意見があるのならたとえ間違っていても発言すべき」と良く言います。
もちろん技術的な部分に関して言えば、基本ができていないのに人の意見を聞き入れず先に進もうとすることはダメですが・・・ステップアップしていく段階で、自分の考えや意見をはっきり言えないようでは患者様に対して責任のある施術や発言ができませんから、そういうところでは思ったことを明確に意思表示する必要があります。

患者様に良くなって欲しいと願うからこそ、もっともっと自分自身を磨いて成長させて、どんな患者様にもどんな障害にも対応できるように日々精進することこそが「謙虚」なのだと思います。
先にも述べたように、人間は経験によって成長する生き物ですから経験が増えると「一種の慣れ」的なものに変化して、その慣れが奢りを生みます。奢りが出てくればそれは自信ではなく、横柄に変わります。

今まで見てきたトレーナーたちの中にも「俺に診させてくれれば治してやるのに」という発言やスポーツ選手相手なら「俺が診たから活躍できたんだ」という発言をする人が少なからず存在しました。
私は、そういう発言を聞く度に不快な想いを抱きます。自分が診させて頂いた人が良くなったり活躍してくれたら、正直に嬉しく思います。

しかし、その結果は本人が出したものであり私が出したものではありません。その結果の一部分に携わることができただけです。でもその一部分のために汗水垂らして、努力するのが我々東洋医学に携わる物の役割であり喜びであると思います。そのためにも本当の意味の「謙虚」という気持ちと姿勢を常に忘れず施術にあたって欲しいと思います。
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