深澤先生のブログ「Hand of god #6」

2017年09月04日(月)

<深澤英之 先生>
城西大学野球部、女子駅伝部、陸上部トレーナー
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)一軍トレーナー兼リハビリ担当
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)二軍トレーナー、二軍トレーニングコーチ
ヤクルトスワローズ(現 東京ヤクルトスワローズ)一軍トレーナー兼リハビリ担当
ロサンゼルスドジャースアシスタントトレーナー
株式会社ルートヴィガー設立(広尾店、銀座店)
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今年の夏は、なんとなく夏っぽくない夏だったように感じています。例年なら個人的に盛り上がる「高校野球 夏の甲子園大会」も、気持ち的に入り込めなかったことが、残念でなりません。

もちろん高校球児たちは、一生懸命素晴らしいプレーを披露してくれていましたから、甲子園大会自体は盛り上がっていたのでしょう!あくまでも私個人の気持ちが「クソ暑くない夏にギラギラした熱い気持ちになれなかった」ということです。

それにしても、最近の高校生たちは良く打ちますね!今年は打高投低と言われていましたが、下位打線の打者たちでさえ「しっかり振っていた」という印象があります。練習道具・練習環境・練習内容が充実して、筋力トレーニングも浸透し体も大きくなった・・・

これだけではないと思いますが、私たちが高校生だった頃から比べると目覚ましい進歩が感じられます。私も時折母校の練習に参加させていただき、トレーニングの指導と体のメンテナンスをさせてもらいますが、いつも逞しくなった体格に驚いています。

残念ながら母校の相洋高校は、この夏準々決勝で横浜高校に惨敗しましたが、これを糧に上を見て突き進んで欲しいと願っています。

さて本題に入りますが、今回は「野球というスポーツにおける下肢の障害」という部分で「膝関節に障害」についてお話したいと思います。野球選手で膝関節に障害を起こす場合、半月板損傷やMCL損傷、ACL損傷が多かったと感じています。

これらも野球という競技特性から「外傷よりも障害」ということが当てはまり、継続したストレスが組織等に負荷を与え障害に発展するケースです。膝関節の屈伸運動や回旋動作、が自身の体重だけで行われるのではなく、道具を使いながらであったりバランスを崩した中での不自然な動作であったりすることで起こることが少なくありません。

その結果が靱帯に損傷を与え、また半月板という組織に影響を及ぼしてしまうのです。このような状態の選手をチェックすると、ある共通点が見受けられます。大半が下肢の筋肉の異常な緊張が出現しており、アライメントが大きく崩れています。

ポイントとしては、股関節・膝関節・足関節を含む足先です。いわゆる骨盤が開きQアングルが狂い、ひどい状態ではKnee in Toe outになっています。結果、腸脛靭帯の異常緊張が起こり、大殿筋ばかりが張って中殿筋や梨状筋が使えていない状況で、内側広筋も過緊張もしくは萎縮してしまっていることが多いです。このような状態とアライメントでは、練習や試合でさらに疲労が蓄積され障害のレベルを上げてしまいます。

さあそこで「鍼灸治療」の出番です!腸脛靭帯や半月板、また各種靱帯ではほとんどの場合血管が通っていないため自己回復させることが困難です。そこに鍼灸治療を施すことで、回復の促進につなげられます。

膝関節障害の治療ポイントは、先述したように下肢のアライメントで股関節・膝関節・足関節のラインを見てアプローチすることです。「膝が痛む」という言葉だけを鵜呑みにしてしまい、膝関節周囲だけを施術しても効果は上がりにくいので、ラインを崩している要因になっていそうな部位、例えば腸脛靭帯の過緊張などから置鍼していくと良いでしょう。

また内側広筋や殿筋の緊張が強い部位に置鍼をすることも有効です。そして状況によりMCLやACLにも直接的に置鍼します。考え方としては、血管が通っていないぶん靱帯や腱には直接的な刺激で活性化させることが必要だということです。同時に靱帯や腱周囲の血流促進の力も借りるということです。

その他、アライメントを整えても改善があまりみられない場合、その痛みを誘発している部位や動作を見極めて痛みの出現している状態で直接その部位に単刺で強い刺激を加えます。これでおおよそ障害の要素となっている、不必要な緊張が緩和されアライメントが整います。

後は、再発を予防するための「血流促進」をテーマとした鍼灸治療やトレーニング・エクササイズで姿勢を維持させることができればベターです。そう簡単な治療ではありませんが、治療に臨むための考え方やアプローチ方法を明確にすることで効果を引き出せるようになるということを覚えておいてください。

ただこれも、治療方法のひとつであり、これだけが全てではないと言うことをお忘れなく!
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